デュエム本の抜粋本

以前ドゥンス・スコトゥスの「場所」論がちょっと面白そうだったこともあって、少し前に場所論の系譜を調べようとしたら、デュエムがちゃんと整理していることをどこぞで知った。19世紀フランスの物理学者であり科学史家でもあるデュエム。その大作『世界の体系』10巻本は確かに、まずもって当たりたいリファレンスではあるのだけれど、量に圧倒されてさしあたり全部は読めそうにない(苦笑)。そうなると、縮約版とかがほしいところ。デュエム本人も晩年、そういう縮約版を構想していたという話もあるけれど、それは残念ながら実現していない……。と思っていたら、うかつだったけれど、中世に関しては英訳版でそれに類するものが出ているでないの。『中世のコスモロジー』(“Medieval Cosmology: Theories of Infinity, Place, Time, Void, and the Plurality of Worlds”, tr. Roger Ariew, The Univ. of Chicago Press, 1985-87)というのがそれ。この序文などは、同著作のガイドとしても役に立ちそう。場所論は主に7巻に収録されていることがわかる。抄訳も収録されていて、大いに助かる。『世界の体系』は以前Gallicaでダウンロードできたのに、今はできなくなっているのだけれど、これって再版されたせいかしら?(amazon.frとかで各巻が買えるようだが……)