『詩学』第二巻?

ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』で重要なアイテムとされたアリストテレスの『詩学』第二巻。喜劇を扱ったとされるその失われた書を再現しようなんていう研究も、実際にあったことを遅ればせながら最近になって知る。うーむ、前半を中心にざっと目を通してみただけだけれど、これはちょっと驚き。リチャード・ジャンコ『アリストテレスの喜劇論』(Richard Janko, “Aristotle on Comedy – Towards a Reconstruction on Poetics II”, Duckworth, 1984-2002)というもの。パリのコワスラン・コレクションなるものにあった「Tractatus Coislinianus」という写本(現在はパリ国立図書館所蔵とか)が、どうやらその失われた第二巻に関連したなんらかのテキストの写し(第二巻そのものではなく)なのではないかということで、同じテキストの異本を突き合わせ、さらにほかの著者らによる第二巻の引用・証言などを照合して、内容・構成の両面から考察し、さらに勢い余るかのように、アリストテレス『詩学』第二巻のありうべき「復元」をも試みるというもの。限られた資料からの、これが果たして最適解なのかどうかは不明だけれど、なにやら壮大な意気込みだけは伝わってくる(笑)。ここまでが前半。後半は復元後のテキスト註解に当てられている。ちょっとこの本の評価とかも知りたくなった。