電子書籍……

メルマガのほうで「Ad Gaurum」という、元は偽ガレノス文書とされ、今やポルピュリオスの著作ではと言われている書簡を取り上げている。胚への魂の付与がいつどうなされるかを論じた、その筋では重要な文献という話。ギリシア語原文は入手できていないのだけれど(19世紀末ごろの版があるらしい)、とりあえず廉価で手に入る仏訳を参照している。Arbore d’OrというスイスのeBook専門のオンラインストアにある『ニンフの洞窟』との合本。7ユーロちょい。訳も悪くない気がする。もちろん、もっと学術的に厳密な訳がいいというなら、たとえば仏訳ではフェステュジエールの『ヘルメス・トリスメギストスの啓示』の第三巻(1953)の付録とかがある。こちらのCNRSのページによれば、リュック・ブリソン監修で訳出・注釈作業が進んでいるらしいし、独訳も2つあることがわかる。そのページに記されている2005年7月の会議というのが、例の論集『胚 – 形成と生命付与(生命活動としていたけれど、これも修正)』のもとになったもの。

でもま、個人的には学術訳と一般向け訳とあっていいと常々思っているので(両方が併存するのが理想)、とりあえず廉価な電子本は大歓迎だ。上のeBookはPDF形式なのだけれど、これをAdobe Readerではなく、Adobe Digital Editionsとかで開くと、結構快適に画面で眺めることができるし。で、こういうのを見るとAmazonのkindleとかも早くMac版配布しないかな、なんて思ってしまう……。うーん、こうやって電子本時代に馴染んでいくのかしらね。