アフロディシアスのアレクサンドロス再び

昨秋に老舗のVrinから刊行されていた希仏対訳本でのアフロディシアスのアレクサンドロス『霊魂論』(Alexandre d’Aphrodisem “De l’Âme”, trad. Bergeron et Dufour, Vrin, 2008)を入手。さっそく読み始める。これは以前希伊対訳本で出ていたMantissa(De anima II)とは別物。アラン・ド・リベラなどが指摘している「唯名論のはるか源流」としてのアレクサンドロス像というのは、たとえばMantissaだけだとよく見えてこない(むろん『Questiones』も参照しないといけないのだけれど)。対するこちらは、冒頭の数ページのところで、すでに「思惟」と実在との区別を想わせる文面とかが出てくる。アレクサンドロスは質料と形相は分離しえないということを強調し、それらを分離するのはあくまでエピノイアとロゴスによってでしかないとし、物体が非物体から生成するなどという議論(これは一つのアポリアだけれど)、あくまでそうしたエピノイアとロゴス上の議論でしかないと斥ける。うん、これはすでにしてなかなかに面白そう。この思惟と実在の区別などに留意しながらしばらく眺めていきたいところ。