レオナルドの食卓?

これもちびちびやる就寝前本のつもりが、一気読みになってしまった(笑)。渡辺怜子『レオナルド・ダ・ヴィンチの食卓』(岩波書店、2009)。レオナルドが当時どういう食事を取っていたのかをめぐる、「想像の旅」(オビから借用)。学術的な研究書ではなく、料理研究家のエッセイという感じなのだけれど、レオナルドの手稿から料理に関係していそうな拾っていくとか、とても手作り感あふれる探求のアプローチが好ましい。個人的にはこういうアプローチ、なかなか捨てがたく、共感を覚えるなあ(笑)。食の話が中心かと思えば、そうでもなくて、レオナルドの蔵書を「覗いて」みたり、解剖手稿から当時の解剖について考えてみたり、より広いルネサンス時代の食事全般をまとめたりと、緩急自在な好エッセイ・好試論になっている感じ。

それにしてもレオナルドの日記は、食に関してはひたすら淡泊で、あまりに味気ない(苦笑)。著者は対照的に、同世代の画家ポントルモを取り上げている。何を食べたか、結構こだわって書いているのだという。結構極端な性格だったらしいという。結果的に当時の食に関する資料をもたらしたわけか。ポントルモってあまり馴染みがないなあと思っていたら、なるほどマニエリスムの要人なのね。

代表作の『十字架降架』(↓)。1525年から28年ごろの作。フィレンツェのサンタ・フェリチタ聖堂所蔵とか。写真によって発色がだいぶ違うけれど、全体に淡い感じが漂っている(?)。

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