昨年4月に発足したという西洋中世学会の機関誌『西洋中世研究』(販売:知泉書館)創刊号を取り寄せてみた。目次を見るだけでも、かなり多岐にわたったラインアップであることがわかる。創刊号ということで、歴史・哲学・美術史・音楽史などの現状報告・研究動向に重きを置いた紹介という趣き。ほかの学会誌に比べて、図版が多数収録されて(一部はカラー!)華やかな印象も(笑)。個人的には中世哲学関連の報告もさることながら、音楽史関連の論文二本が注意をひく。カリクストゥス写本って、例のサンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼ガイドが入っている文書っすね。ガイド本は4巻目で、5巻目が楽譜なのだとか。また、修道女らの読書の問題を扱った論文も個人的には興味深い。そういえば、前から思っているけれど、思想史とそうした書物史・媒体史とかを結びつけるような研究ってやはりあまり見あたらない気が。こうした領域横断的な学会の誕生で、そういう風変わりなアプローチなども促されていくと面白いのだけど。うん、今後にも大いに期待しよう。