当初の予定より遅れて、2巻セットの『ケンブリッジ中世哲学史』(The Cambridge History of Medieval Philosophy 2V Box Set”, Cambridge University Press)がようやく刊行された模様。ハードカバーで、両方合わせて1200ページを超える大作っすね。少々お値段が張るけれど、うーん、今後廉価なペーパーバック版とか出るのかしら。とりあえず様子見……か?そういえば、『ケンブリッジ古代末期哲学史』も2巻本で今年秋の予定になっているっすね。
今回は国内的にはルネサンスものが目立つような……。というわけで、今回はそちら方面もちょっと入れてみた。
- 『原典イタリア・ルネサンス人文主義』(池上俊一監修、名古屋大学出版会)
まずこれが目を惹く。900ページ越えで値段も税込み15000円超という(笑)。ペトラルカの「イタリア誹謗者論駁」とか、ロレンツォ・ヴァッラの「快楽論第一巻」とか、いろいろ面白そうな文書の邦訳を収録しているよう。うーん、素晴らしそう。 - 『ルネサンス精神への旅』(根占献一著、創文社)
対照的にこちらは200ページ弱。副題は「ジョアッキーノ・ダ・フィオーレからカッシーラーまで」となっていて、かなりの長いスパンで捉えた人文主義論なのかしら。どのようなまとめ方をしているのかちょっと気になる。 - 『マキアヴェッリとルネサンス国家 – 言説・祝祭・権力』(石黒盛久著、風行社)
10月くらいに出ていた本。マキアヴェッリ論はちょっと注目かも。そういえば『マキァヴェリアン・モーメント』が積ん読になっているなあ(苦笑)。 - 『ルネサンスを先駆けた皇帝 – シュタウフェン家のフリードリッヒ二世』(吉越英之著、慶友社)
これはルネサンスではなく、13世紀のシチリア王国を築いたフリードリヒ二世についての本。アラブ世界に開かれた宮廷では文献の翻訳なども盛んに行われていたとされているわけで、個人的にはそのあたりの話とかをちょっと期待していたりする。 - 『中世の狂気 – 十一~十三世紀』(ミュリエル・ラアリー著、濱中淑彦監訳、人文書院)
これも面白そう。内容説明に「中世の精神疾患とその治療の実際を精神医学的に分析紹介」とある。悪魔憑きから異端、神秘体験までいろいろな事例を扱っているようだ。精神医学的に、というあたりが結構ミソかも。 - 『人格<ペルソナ>の哲学』(稲垣良典著、創文社)
稲垣氏の最新著書。内容紹介を見ると、人格の哲学を共通善の追求などの面から体系化するのだというようなことが記されていてとても期待できそう。アリストテレス=トマス的なベースからのアプローチでしょう、きっと。 - 『トマス・アクィナス『神学大全』』(稲垣良典著、講談社選書メチエ)
稲垣氏は昨年秋にこれも出している。『神学大全』の読み直し、ということで、これもちょっと目を通しておきたいところか。