小説:『ビア・マーグス』

中世のビール職人の一生


 ギュンター・テメス『ビア・マーグス——ビールに魅せられた修道士』(森本智子・遠山明子訳、サウザンブックス、2021)をざっと読んでみました。舞台は13世紀後半のドイツ北西部。ビール造りがしたくて修道士になった少年の、その後の波乱の人生を描いたビルドゥングスロマンです。修道院時代のある諍いが、その後還俗してからも長く尾を引くところなどがストーリーの軸線になっています。実在した人物たちも物語に登場したりして、なかなか面白いですが、小説としては割とあっさりしているというか、軽めの口当たりというところでしょうか。とくに主人公が還俗したあとの後半は、ところどころ、歴史書とプロットをそのまま読んでいるような気分になったりします((^0^))。逆にビール造りに関する描写などは細かく、そのあたりがとても興味深いです。季節的にもぴったりで、一杯やりたくなりますね。

https://amzn.to/3KZsuaB