ポルピュリオス論

個人的にはぼちぼちとポルピュリオスなどについての論考も読んでいきたいものだと思っているけれど、とりあえず、ジュゼッペ・ジルジェンティ『ポルピュリオスの特徴的思想』(“Giuseppe Girgenti, “Il pensiero forte di Porfirio”, Vita e Pensiero, 1996″)を取り寄せてみた。まだ読み始めたばかりだけれど、アリストテレス思想とプラトン主義との融和を図ろうとした思想家として、ポルピュリオスを真っ向から捉えようとしているところが、変な言い方になるけれどある意味すがすがしい(笑)。堅実な直球型の論究。両者の思想の核心部分には、存在論と一者論(ヘノロギア)の対立があるというわけで、ポルピュリオスは存在と一者を同一と見なし、両者の調停役を買って出ているのだ、というのがメインストリームらしい。プラトン主義の一者論の流れと、アリストテレス思想圏の存在論の系譜を整理した上で、ポルピュリオスによるプラトン、アリストテレス双方の著作への注解書を読み解いていくという趣向のようで、結構読み応えがありそう。