夏読書ってことでちょっと触れたピロポノスの「世界の始まりについて」。希独対訳本(“Johannes Philoponos, de orficio mundi”, üb. Clemens Scholten, Herder, 1997)は3巻本なのだけれど、とりあえず1巻目がそろそろ大詰め。オリジナルテキストでいえば第一書と第二書。いや〜これが予想に違わず、結構モダン(笑)な感じで面白い。聖書の注解というよりも、先行する諸々の注解書を批判しつつ、新プラトン主義的な流儀(四元素の話とか)で説明を再構築しようとしている、という感じ。第一書では中心となるのが天使論で、とくにモプスエティアのテオドロスという人物の聖書注解が俎上に載せられる(これってアンティオキア系の人らしいが、詳しいことは調べていない。確認しておかないと)。第二書になると、元素論が中心になり、「光あれ」の光などの問題が取り上げられる。批判対象もバシレイオスほか様々。うーん、こうなってくるとピロポノス自身の入信の動機とかも気になってくる。そのあたりの線で研究書とかも見てみたい。
「「世界の始まりについて」」への2件のフィードバック
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>聖書の注解というよりも、先行する諸々の注解書を批判しつつ、新プラトン主義的な流儀(四元素の話とか)で説明を再構築しようとしている、という感じ。
論文として発表していただきたいです!
どうもです。いや〜、なかなか論文というレベルにまでは行けないにしても、実感として、ピロポノスはいろいろこねくり回してみたくなる素材ではありますね(笑)。