先日これまた衝動買いしてしまったのが、ハルモニア・ムンディから出ていたボックスセット『宗教音楽』(“Sacred Music”, Harmonia Mundi France, HMX 2908340.33)。グレゴリオ聖歌以前から始まって、中世、ルネサンスのポリフォニー、その後のモテット、ミサ曲、オラトリオ、レクイエムなどなど近現代にいたるまでの通史を聴くという趣きの29枚(プラス例によって歌詞の入ったCD-ROM1枚)。聖歌関連とかバッハなどを中心にやはりダブりもあるけれど(苦笑)、それ以外は未聴のものがいろいろあって、値段の割には結構得した感じ。まだ少ししか聴いていないけれど、その中ではボッケリーニのスターバト・マーテルとか(演奏は来日予定のキアラ・バンキーニ&アンサンブル415)、アレッサンドロ・スカルラッティのオラトリオ『カイン(または最初の殺人)』(ルネ・ヤーコプス指揮のベルリン古楽アカデミー)、メンデルスゾーンのオラトリオ『パウロ』(ヘレヴェッヘ指揮、シャンゼリゼ交響楽団、ラ・シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ)などが強烈な印象。特に『パウロ』は勇壮感あふれる壮大な曲想。演奏も言うことなし、みたいな。
これも昨年末ごろから少しづつ目を通していたものだけれど、Bompianiの対訳本シリーズで昨年出たポルピュリオスの『反キリスト教論』(Porfirio, “Contro i cristiani”, trad. Giuseppe Muscolino, Bompiani, 2009)。どういう異論をぶつけるのかと思っていたら、直情的とも言える身も蓋もない反論の数々だった(苦笑)。ま、むしろそれだけに、ある意味面白くもあるのだけれど。ポルピュリオスのこの反キリスト教論は文書として残っているものではなく、例によって証言の数々を収集したもの。ドイツのプロテスタントの神学者だったアドルフ・フォン・ハルナックが10年ほどを要してまとめあげ、1916年に刊行した断片集がそれ。今回の対訳本は、ギリシア語部分のみならず、そのドイツ語序文ほかも含めて伊語に全訳したというもの。